幻の小麦・ハルユタカを含む全4品種を生産!江別「小麦農家・萩原英樹さん」を取材

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江別市小麦農家|萩原英樹さん
高井なお

北海道の飲食店を4500店以上食べ歩いた 道産子グルメライター 高井なお です

小麦全体の15%を占める国産小麦のうち、60%以上を生産しているのが北海道。

中でも 札幌のとなり町「江別市」は、キャッチコピーに〝麦の里〟を掲げるほど小麦生産に力を入れていて、日本でも数少ない 幻の小麦「ハルユタカ」を栽培している特別なエリアなのです。

江別市の土壌や気候は小麦栽培に適していて、小麦を雪の下で発芽させる〝初冬まき栽培〟という独特の栽培方法が普及しています。

筆者が最初に畑に訪れたのは、2024年4月27日。江別市で生産される全4品種の小麦をすべて栽培している、萩原 英樹(はぎわら ひでき)さんの農場を取材させていただきました。

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小麦農家「萩原英樹さん」と農場について

江別市の小麦農家・萩原英樹さんにグルメライター・高井なおが話を聞いている様子
写真右が今回お話を伺った 萩原 英樹さん。農業歴40年以上の大ベテランです!
江別市の小麦農家・萩原英樹さんにグルメライター・高井なおが話を聞いている様子
「江別麦の会」の会長を務めており、江別市の小学校の食育授業で講師もされています。

今回お話を伺った 萩原 英樹さんは同農場の5代目。

東京で農業を学び、江別市にUターン。実家のお父さんの後を継ぎ、農家としての道を歩み始めました。

江別市の小麦農家・萩原英樹さんにグルメライター・高井なおが話を聞いている様子
保有するのは全20ヘクタールもの広大な圃場

現在は江別市内の複数箇所に畑をもち、その広さは全20ヘクタール・札幌ドーム約9個分にもなるそうです。

また小麦以外にも〝大豆・ビート・加工用じゃがいも・スイートコーン・白菜〟など、たくさんの農作物を生産しています。

色々お話を伺ったところ、スタートしてから20年ほどは収量が安定せず、大変なことも多かったのだとか……。

高井なお

ここからは小麦について、一緒に学んでいきましょう♪

小麦は大きく分けて「春まき・秋まき」の2種類

小麦追跡学習(圃場説明パネル)
江別市内の小学校の食育授業で使用されている、小麦栽培の一覧表 ※許可を取って掲載しています。

江別市でおもに栽培されている小麦は、〝ハルユタカ・春よ恋・きたほなみ・ゆめちから〟の4品種です。

それぞれ種をまくのに適した時期があり、大きく分けて〝春まき小麦〟‶秋まき小麦〟とに分類されます。

▼ 播種時期と品種を比較

播種の時期適した品種
春まき小麦春(3月頃)① ハルユタカ(強力粉用)
② 春よ恋(強力粉用)
秋まき小麦秋(11~12月頃)③ きたほなみ(中力粉用)
④ ゆめちから(超強力粉用)
高井なお

おもに〝小麦粉〟に加工されて世に出回る小麦。
日本で栽培されているのは「中力粉~超強力粉」の品種です。

スーパーなどで北海道産小麦の薄力粉を見かけることもありますが、あれは薄力粉ではなく〝中力粉〟なのだそう。知らなかった~!

江別市にある萩原英樹さんの小麦畑の様子
2023年11月9日に播種(種まき)をした「ハルユタカ」の畑 ※2024年4月27日撮影

江別市ではさらに、雪が降る直前に種をまく〝初冬まき栽培〟も行われています。

一般的に〝春まき小麦〟とされるハルユタカですが、病気に弱く収量がなかなか安定しませんでした。そこで‶初冬まき栽培〟を採用してみたところ、収量や品質の向上につながったのだといいます。

高井なお

初冬まきは‶江別市発祥〟の栽培方法
まいた種は‶雪の下で発芽する〟のだそうです!

なお初冬まき栽培については、次の「ハルユタカ」の項でくわしく解説していきます ^^


江別で1番の作付面積を誇る、幻の小麦「ハルユタカ」とは?

江別市の小麦農家・萩原英樹さんの小麦畑のハルユタカ
江別市で1番大きい作付面積を誇っているのがこの「ハルユタカ」

江別市で栽培されている品種のうち、一番 生産面積が大きいのが「ハルユタカ」です。

病気や雨に弱いため、‶幻の小麦〟とも呼ばれる希少価値の高い品種。滝川市・下川町・美深町などでも栽培されていますが、その中でも江別市が道内の一大生産地として広く知られています。

江別市の小麦農家戸数と面積
  • 小麦農家の戸数 ‥ 158戸 ※ 農家全体の戸数は345戸
  • 小麦の作付面積(ha)と収量(t)‥ 1,550ha(6,620t)
  • 品種別小麦の作付面積(ha)と収量(t)
    • ハルユタカ 536ha(1,955t)
    • ゆめちから 498ha(2,759t)
    • 春よ恋   484ha(1,685t)
    • きたほなみ  32ha(221t)

※記載の数字は2022年(令和4年)のもの。

前述のとおり、ハルユタカは‶初冬まき栽培〟で生産されています。

これは 根雪になる直前に春まき小麦の種をまき、翌春の雪解け後、地温の上昇とともに大きく生育させる栽培方法のことです。

江別市の小麦農家・萩原英樹さんにグルメライター・高井なおが話を聞いている様子
昨年収穫された実際の小麦を見ながら取材。ちなみに昨年の小麦は、過去最高の出来だったとか……!
江別市の小麦農家・萩原英樹さんが小麦を手に持っている様子
小麦の粒の先端に生えている毛「芒(のげ)」は、ひと粒につき1本生えています。〝とうもろこしのヒゲ〟と一緒ですね♪

北海道の各地でも 初冬まき栽培を実施した地域はありますが、そのほとんどが失敗に終わりました。

積雪が少なかったり土壌凍結する地域には向かない栽培方法ですが、この条件に合致した江別市では 初冬まきが広く普及しています。

高井なお

実際に萩原さんにお話しを伺ったところ、萩原さんも 春まき栽培を行っていた最初の20年間は収量が伸びず失敗の連続だったそう。

ですが、萩原さんの大先輩である農家さんが試しに 初冬に種をまいてみたところ、なんと 翌年すぐに成功! 革命的な出来事です。

ちなみに〝初冬まき栽培〟は、農水省から表彰された 画期的な栽培法なんですよ。

江別市の小麦農家・萩原英樹さんの農機具
畑近くの倉庫には大きな重機がたくさん!

ちなみにですが、一般的な小麦は約10年のスパンで次の品種へと移り変わっていきます。その中でもハルユタカは‶約40年も続いて〟いて、今出回っている小麦の中でも最古の品種なのだそう!

萩原さんにハルユタカの魅力を伺ったところ、「食パンにした時の香りが圧倒的に違う!」と教えてくれました。

江別小麦の生産発展に寄与した製粉会社「江別製粉」

江別で 広~く小麦が生産されるようになったのは、地元の企業「江別製粉」を無くしてありえないでしょう。

「江別製粉」は 江別市に本社を置く製粉会社で、1948年の設立以来 75年以上もつづく老舗。小麦粉が持つ面白さや奥深さを届けることを目指していて、大量生産よりも品質・多様性にこだわった製品作りを行っていることが特徴です。

また、地域の農業とも密接に関わることを大切にしていて、そこが最大の強みと言えます!

〝小ロットから対応・生産者の名前を入れたパッケージで販売する〟など、ほかが真似できないようなスタイルで、地元の小麦を使用した製品開発にも力を入れている画期的な製粉会社なのです。

1年あたりの売上高が45億円以上にもなる大きな会社で、2024年4月には東京にも進出しています。※上記のInstagram投稿を参照。

今となっては全国に名が知れ渡る〝江別小麦〟ですが、その発展は「江別製粉」の力なくしてはなかったといっても、過言ではありません。


江別市内で買える!江別小麦を使った「おすすめ加工品4選」

江別産小麦を使ったラーメン、味噌、ビール、パンなどの加工品が、テーブルに置かれている
江別市内では、江別小麦をつかった 多ジャンルの商品を買うことができます!

ここからは、江別産小麦を気軽に味わうことができる加工品をご紹介していきます。

すべての商品が 江別の主要スポットで買えるので、立ち寄る際はぜひ足を運んでみてください ^^

おすすめ ①:小麦をダイレクトに味わえる「食パン」

「はるゆたか小麦とゆめちから全粒粉入りのパン」を手に持っている様子
「はるゆたか小麦とゆめちから全粒粉入りのパン(税込280円)」一般的な食パンよりひとまわり小さなサイズ

小麦の香りをダイレクトに楽しみたい!

そんなあなたには、江別市内にある‶ゆめちからテラス〟で買うことができる「はるゆたか小麦とゆめちから全粒粉入りのパン」がおすすめです。

ふわっと広がる小麦のふくよかな風味が感じられ、ほどよい弾力が心地いい◎ トーストしてもおいしかったです。

「Pasco 夢パン工房」の外観
このパンが買えるのは「Pasco 夢パン工房」
「ゆめちからテラス」の外観
「ゆめちからテラス」外観

この日は平日15:00の訪問で、運よく最後の1個を買うことができました♪

週末は早く売り切れることが予想されるので、なるべく早めの来店が確実です。

おすすめ ②:毎日の調味料として使える「麦味噌」

北海道江別産 ハルユタカ使用「麦味噌 300g」がテーブルに置かれている
北海道江別産 ハルユタカ使用「麦味噌 300g(税込620円)」
北海道江別産 ハルユタカ使用「麦味噌 」がテーブルに置かれている
〝麦麹〟をつかっているため、ほんのりと香ばしい風味が特徴的

個人的に1番おすすめしたいのが「麦味噌」です!

いつもの味噌をこれに変えるだけで、ワンランク上の美味しさを味わうことができちゃう♪ 麦麹ならではの淡い香ばしさと深味が、毎日のお味噌汁を美味しくしてくれますよ。

北海道江別産 ハルユタカ使用「麦味噌 300g」が冷蔵庫の棚に陳列されている
筆者が購入したのは「ゆめちからテラス」内にある のっぽろ野菜直売所

九州ではよく食べられているそうですが、北海道ではあまり見かけることがありません。見かけたらぜひ手に取ってみてほしい逸品です♪

おすすめ ③:ラーメン・うどんなどの「麺類」

えべチュンらーめん3種類がテーブルに置かれている
江別産小麦100%使用「えべチュンらーめん(各 税込190円)」。右から〝みそ・しょうゆ・しお〟

小麦の加工品なら、毎日の食事に気軽に取り入れられる「麺類」もはずせません。

中でもイチ押しが、江別市のゆるキャラ・えべチュンが大きく袋に描かれた「えべチュンらーめん」です!

えべチュンらーめんの裏面に書かれている作り方や原材料など
地元の製麺工場「菊水」で製造されています

江別産小麦100%の麺の中には、幻の小麦「ハルユタカ」がなんと50%以上も使われているのですから驚きです!

地元の製麺会社「菊水」さんの製造なので、メインの素材から加工までが江別市内で完結していることになります ◎

高井なお

フライ麺ではなく〝寒干麺〟

なので、おいしい上に低カロリーなのも嬉しい限り♪

江別産小麦を使ったそうめんとうどんが、テーブルに置かれている
さっぱり派の方、暑い時期に冷たい麺が食べたい時には「そうめん・うどん」がおすすめです♪
江別産小麦を使ったそうめんとうどん、ラーメンなどが棚にたくさん並べられている
麦味噌 と同じく、「ゆめちからテラス」内にある のっぽろ野菜直売所に売ってました◎

番外編: 新発売「ビール」もおすすめ!

「HARUYUTAKA WEIZEN(ハルユタカ ヴァイツェン)350ml 」を手に持っている様子
2024年4月に発売した「HARUYUTAKA WEIZEN(ハルユタカ ヴァイツェン)350ml 税込770円 」
グラスに注がれた「HARUYUTAKA WEIZEN(ハルユタカ ヴァイツェン)350ml 」がテーブルに置かれている
黄金色が美しい♡ ホップは北海道・富良野産を使用。

2024年4月に発売されたばかりの「HARUYUTAKA WEIZEN(ハルユタカ ヴァイツェン)」は、京都のクラフトビールメーカー・CRAFT BANK(クラフトバンク)が手掛けるひと品です。

うっすら柑橘を感じるライトな飲み口で、暑い日にゴクゴク飲みたくなるおいしさでしたよ。

「EBRI STORE」の入口外観
ハルユタカ ヴァイツェンが購入できるのは、商業施設・EBRI(エブリ)に入る「EBRI STORE」
「EBRI」の外観
「EBRI」外観

「ハルユタカ ヴァイツェン」は、江別の主要スポットEBRI内にある「EBRI STORE(エブリ ストア)」で買うことができます。

ほかに江別産小麦を使ったビールは、江別市のクラフトビール醸造所・NORTH ISLAND BEER(ノースアイランドビール)が製造する「WEIZEN(ヴァイツェン・ハルユタカ使用)」もあり。一緒に購入して、飲み比べするのも楽しいですね ^^

高井なお

これからも、小麦の成長過程を撮影しに伺う予定です。
畑のようすを随時追記していくので、お楽しみに~♪

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